ウェビナーの録画はYouTubeでご覧いただけます。(全編英語となります。)
https://www.youtube.com/live/QBxvvAHNr-M?si=lKnfJRqxpm8YGAmC
概要:
2025年3月26日、日本アセアンセンターは「革新を起こすには:半導体産業におけるAIの活用による日・ASEANの経済成長、協力の深化」ウェビナーを開催しました。本イベントはASEAN-日本インサイトシリーズの一環として、ASEANおよび日本の専門家や関係者を招き、半導体産業の成長を促進するための協力の可能性を探ることを目的として開催されました。
本ウェビナーでは、以下の講演者がそれぞれのテーマについて発表しました:
- フェルディナンド(ペリー)・フェレール(EMSグループ 会長兼最高経営責任者、フィリピン)
フィリピンの半導体・電子産業の概要を紹介し、業界の構造、主要企業、業績、および今後のイベントについて説明。プレゼンテーションリンク
- アンドリュー・チャン(マレーシア半導体産業協会(MSIA)部長)
マレーシアの半導体業界の主要な役割を強調し、特にAIを活用した日・ASEAN協力の重要性を指摘。ASEANの半導体産業がグローバルバリューチェーンでの競争力を強化するための取り組みを提案。プレゼンテーションリンク
- 土谷 大(マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー)
日本の半導体産業の競争優位性について説明し、複雑なサプライチェーンや、ASEANとの協力の可能性について議論。
- リリ・ヤン・イン 博士(東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)主任アドバイザー(東南アジア担当)
ASEANの半導体産業におけるイノベーション機会を強調し、グローバル市場、バリューチェーン、ASEANの可能性、現存する課題、および日・ASEAN協力を通じた今後の展望を提示。プレゼンテーションリンク
各発表の後には、ホノルルに拠点を置くパシフィック・フォーラムのサイバーセキュリティ・クリティカルテクノロジー部長であり、NIDS防衛研究所の客員研究員でもあるマーク・マナンタン氏がモデレーターを務め、パネルディスカッションが行われました。ディスカッションでは、日・ASEAN協力を強化するための重要な洞察を深掘りし、業界の課題や今後の成長機会について議論しました。
講演の主要なポイント:
- フィリピンの半導体産業の現状
- フィリピンの電子産業は、半導体製造サービス(SMS)が70% を占めており(残りの30%は電子機器製造サービス:EMS)、特に組み立て、試験、パッケージングの分野で世界的な評価を得ている。
- フィリピンは世界のSMS市場の6%を占める。
- マレーシアの半導体産業の強み
- マレーシアは世界の半導体サプライチェーンにおいて重要な役割を担っており、世界第6位の電子・半導体輸出国である。
- また、グローバルなチップのテストおよびパッケージング分野においても重要なプレイヤーとなっている。
- ASEANの半導体製造ハブとしての役割
- フィリピン、マレーシアを含むASEANは、半導体バリューチェーンにおいて重要な役割を果たしており、50年以上の経験を有する。
- しかしながら、ASEANの半導体産業は、主に低付加価値のバックエンドプロセスに集中している。
- ASEANと日本の半導体バリューチェーンでの立ち位置
- ASEAN: 組み立て、試験、パッケージング(ATP)などのバックエンド製造に強み。
- 日本: 半導体材料、装置、40nm以上の前工程製造(フロントエンド)において世界をリード。技術力、精密機械、R&Dの優位性を持つ。
- 日本の高齢化した労働力に対し、ASEANは供給網のローカリゼーションや人材育成を通じた理想的なパートナーであり、交流プログラムや大学との提携を通じて協力が進められる。
- 進歩とイノベーションの障壁
- ASEANの課題:ASEANは、供給網への依存やGDPに対する半導体投資の限界といった課題に直面している。かつてこの分野で優位を誇った日本は、米国と日本の半導体協定などの貿易協定の影響を受け、他のアジア諸国が追いつくことになった。持続的な成長のためには、職業訓練、投資協定、共同産業フレームワークを通じた日本との協力強化が重要。
- 日・ASEAN協力の機会
- サプライチェーンのローカライズ、人材育成、先端製造能力の強化など、日本とASEANの協力には大きな可能性がある。
- 日本の技術力、R&D、プロセス管理能力と、ASEANの製造力や若い労働力を組み合わせることで、相互補完的な成長が期待される。
パネルディスカッションの重要ポイント:
- グローバル半導体業界の変化とASEANの役割
米中競争、新技術の進化、AIによる半導体需要の増加がASEANのポジションを変化させる要因となっている。それに対して、ASEANが中立性を保つべきだ。
- ASEANの戦略と人材育成
フィリピンはSTEM教育と労働力開発を重視し、高度パッケージングとチップ設計に注力。マレーシアは、AIデータセンターなどの分野で起業家育成にも注力。
- 日本の強みとASEANとの協力
日本は材料、装置、メモリ分野で優位性を持ち、ASEANとの人材交流やサプライチェーン構築がカギとなる。日本では少子高齢化進んでいるため、労働力人口が若いASEANは日本にとって戦略的なパートナーとなる。
- ASEANの一体化と産業の方向性
ASEANは単独の国ではなく、統一されたブロックとして日本と協力すべきとの指摘があった。
- 次のステップへの準備
マレーシアのARMとのIP契約がバリューチェーン向上の一例。
日本の半導体企業は国際化が進み、外国人IC設計者の雇用を拡大。
ASEAN-日本インサイトシリーズについて:
ASEAN-Japan Insightsシリーズは、ASEANと日本に関連する重要なテーマについて情報を共有するプラットフォームとして、業界専門家、学術関係者、政府、企業との知識交換を促進することを目的としています。このシリーズは英語と日本語で提供されるハイブリッド型ウェビナーで、両地域における現在の問題について議論します。
今後のウェビナーに関する情報や参加方法については、以下の連絡先までお問い合わせください。
日本アセアンセンター
調査・政策アドボカシーチーム
メール: info_rpa@asean.or.jp