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事業報告

ウェビナー「日ASEANの電気機器産業におけるFTAを通じた強靭なサプライチェーンの促進」

国際機関日本アセアンセンターは、2022年10月28日(金)に「日ASEANの電気機器産業におけるFTAを通じた強靭なサプライチェーンの促進」に関するウェビナーを開催いたしました。このウェビナーは、ASEANと日本の電気機器産業において、FTAを利用することにより、包括的で持続可能な貿易を促進することについて議論する機会となることを目的に開催いたしました。

約100名の方にご参加いただき、オンラインで実施した参加者へのアンケートでは、86%の参加者がFTAによって電気機器産業における包括的かつ持続可能な貿易が促進されるであろうと答え、97%の参加者がウェビナーを有益と感じたとのことでした。

【講演内容】    

講演1 「マレーシア半導体産業協会 (MSIA) 会長であるダト スリ ウォン シェウ ハイ 氏は、現在 201団体を擁する同協会において、44% がマレーシア、29% が米国とカナダ、21% がアジア、そして9%がヨーロッパの団体で構成されていると紹介しました。彼は、世界の半導体市場が2021年に26%、2022年には11%成長すると予測しました。マレーシアは世界的な半導体サプライチェーンの主要な立場にあり、世界の半導体取引全体の7% がマレーシアを経由し、世界の半導体チップテストとパッケージングの13% がマレーシアで取引されています。 2021年に、マレーシアにおけるE&E産業の輸出は1,090億米ドルに達し、総輸出の37%、GDPの6.85%、総雇用の3.8%、総投資の48% に寄与しました。 また、2022年最初の9か月間で輸出は35% 増加しました。さらに、E&Eは第12次マレーシア計画 (2021-2025)において戦略的で影響力の大きい8大産業のひとつであることを共有しました。

彼はまた、マレーシアが環太平洋パートナーシップのための包括的かつ先進的な協定 (CPTPP) を批准し、2022年11 月 29 日に発効予定であることを共有し、CPTPPはE&E 部門に幅広い調達チャネルを提供し、輸入された投入製品の関税撤廃を通じて原材料のコストを下げる可能性があると述べました。

講演2  

フィリピン半導体・エレクトロニクス産業連盟(SEIPI)理事長 ダニロ C. ラチカ 氏は「フィリピン電気機器産業における強靭なサプライチェーン構築に向けて」について講演しました。 SEIPIは、346団体におよぶ多国籍およびフィリピン所有の半導体・電子機器製造会社、サプライヤー、提携・サポート業界団体、および学術機関で構成されています。 2021年、電子機器の輸出は459億2000万米ドルを占め、商品輸出全体の61.5%を占めました。主な輸出市場は、香港、米国、中国、シンガポール、日本、台湾、ドイツ、韓国、タイ、オランダでした。日本に輸出された電子・電気機器製品の順位は、1位:プロセッサとコントローラ、2位:その他の電子集積回路、3位:無線航法支援装置でした。

さらに、フィリピンが国際技術協定(ITA)を含む様々な貿易協定に署名し、「回復力のある経済」を柱の1つとするインド太平洋繁栄のための経済枠組(IPEF)の議論に参加したことも紹介しました。

 講演3 

岩手県立大学総合政策学部の近藤 信一 准教授は、日本企業のアジアのおけるグローバル化について10年スパンで振り返り、学術的な側面から講演しました。中国の市場経済化の導入によって、日本の多国籍企業(MNC)の国際生産戦略の傾向が1990年代にアセアン地域から中国に移り、その後、再度アセアン地域の経済発展に伴い中国からアセアン地域に戻った変遷について紹介しました。また、COVID-19によるパンデミック、米中貿易戦争、ロシアとウクライナの戦争が引き起こした、電気機器産業におけるグローバルサプライチェーンの混乱についても述べました。

彼はまた、FTAとEPAは、多国籍企業に対し地政学的な状況におけるサプライチェーンの構築については保証できるが、パンデミックのような問題に対しては保証できないと指摘しました。また、ほとんどの電気機器製品はすでに関税がゼロになっているが、家電製品などの一般消費者向け電気機器には、FTAの恩恵を受けられる関税がある可能性について述べました。

まとめとして、日系企業の戦略的展開、グローカルでのサプライチェーンの再構築が必要であると語りました。

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