国際機関日本アセアンセンターは、2022年8月25日(木)にウェビナー「日ASEANの自動車産業におけるFTAを通じた強靭なサプライチェーンの促進」を開催いたしました。本ウェビナーは、自由貿易協定が、自動車産業における強靭なサプライチェーンの促進にどのような影響を与えるかを議論する場として開催いたしました。
約140名の方にご参加いただき、オンラインで実施した参加者へのアンケートでは、83%の参加者が「FTAによって自動車産業における包括的かつ持続可能な貿易が促進されるであろう」と答え、98%の参加者がウェビナーを「有益と感じた」とのことでした。
【講演内容】
講演1 「株式会社日本総合研究所 調査部 副主任研究員 松本光弘氏は、「EV普及に取り組むASEANと日本の自動車産業がとるべき戦略」について講演しました。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの EV 政策およびこれらの国への日本からの投資について解説し、日本企業が取るべき戦略として、EV需要の拡大とガソリン車のEV化の2つを挙げました。 また、松本氏は、自動車のEV化は世界的な潮流であり、その動きが日系企業、マクロ経済にどのような影響を与えるか、またASEAN各国における自動車需要の拡大ポテンシャル、ガソリン車からEVへのシフトを左右する2つの要素について分析するとともに、日本企業の取るべき戦略について指摘しました。
講演2 タイ政府工業省経済産業局 上級専門官 ドゥシット・アナンタラク氏は、「タイ自動車産業におけるサプライチェーンへの取組み、およびタイ政府による支援政策」について講演しました。アナンタラク氏によると、ASEAN と日本が世界生産の14%を担う自動車産業の主要プレーヤーであり、また、AJCEPA や RCEP を含む ASEAN FTA が良好な貿易と投資の機会を生み出し、ASEAN と日本における強靭な自動車サプライ チェーンの構築に貢献したと論じました。タイの自動車産業は、組立工場だけでなく、日本の大手自動車メーカーの研究開発センターを有しており、タイの自動車、部品、付属品は、平均 70% 以上の地域?付加価値を持ち、同国の輸出部門の上位にあると述べました。また、タイは世界の主要自動車企業向けに製造し、主に米国、中国、インドネシア、インド、ドイツに輸出していると解説しました。電気自動車は、持続可能な環境に向けて排出量を削減する上で重要な役割を果たしており、タイは、EV の使用増、ガソリン車の使用低減のための長期戦略を設定しているとのことでした。
講演3 インドネシア投資省投資調整局 東アジア南アジア中東およびアフリカ向け投資振興部長 カーヨ・プルノモ氏は「インドネシアの自動車産業サプライチェーンにおける投資機会および投資最新情報」について講演しました。プルノモ氏は、インドネシアが東南アジアで最大の自動車市場であると話しました。 自動車産業は同国における投資部門上位10件の うちの1 つであり、日本が最大の投資元となっています。インドネシアは2050 年までにゼロエミッション エネルギー システムを達成するために、「採掘からリサイクルまでの電気自動車エコシステム開発」に従っており、また、インドネシア・日本経済連携協定 (IJEPA) の利点として、(1) 市場アクセスの改善、(2) インドネシア、特に製造業への投資の増加(自動車や部品など、USDFS による日本企業の生産工程で使用される日本の原材料製品の輸入税免除によるもの) (3) 中小企業を含む産業支援による能力構築の改善の3点を挙げ、これらがンドネシアの産業発展に対して有益に働くと解説しました。