ASEAN JAPAN CENTRE 日本アセアンセンター

事業報告

2022年度 第1回日本アセアンエコスクールを大阪府岸和田市立山直南小学校で実施

国際機関日本アセアンセンターは6月21日、大阪府岸和田市立山直南小学校で今年度初めてのエコスクールを実施しました。今回は、日本の児童にアセアン諸国を紹介する目的で同センターが実施している「ASEANクラス」と連携し、開催しました。エコスクールの授業は毎回オンラインで行われており、今回の授業は2020年の新型コロナウィルスの感染拡大以来、2年以上ぶりの対面授業となりました。、益田明奈さん(日本)とヤスミン・ファウジーさん(マレーシア)の2名のフェローが、小学6年生36名を対象に講義を行いました。 

講義では、海洋プラスチック廃棄物(MPW)の背景、環境への影響、ASEAN地域の状況、岸和田市のMPWに対する取り組みの現状を紹介しました。授業は対話形式で行われ、5つのアクティビティに分かれているため、生徒たちは活発に動き、交流することができました。

最初の実習では、海の中でよく見られるゴミを、紙、プラスチック、缶・金属、ガラス、その他の5つの枠に分類し、識別しました。写真1は、海を表す青いマットの上に置かれたゴミと、カラーテープで印をつけられた5つの区分を示し、生徒たちはゴミをその組成(例:燃えないプラスチック、燃える紙、ペットボトルなど)により分類するよう指示されました。 

益田さんとファウジーさんは、生徒たちと一緒にそれぞれの区分を回り、分別したゴミに含まれるプラスチックの成分について説明しました。プラスチックは環境中で100年も生き続けることができることを強調しました。また、プラスチックは水に強い、軽いなどの利点があるため、意外なものにも含まれていることを認識しました。さらに、プラスチックは長い目で見ると環境に良くないことも学びました。

2つ目の実習では、生徒たちに自分自身をプラスチックに見立て、最終的に自分が使用した後に行き着く場所を3つの枠の中から選んでもらいました。3つの枠には「リサイクル」「焼却炉」「埋立地/環境」というラベルが貼られています。その目的は、世界のプラスチック最終処分の実情を知ってもらい、日本との比較をしてもらうことです。活動中、「リサイクル」の枠に入った学生は11名(30.6%)、「焼却炉」の枠に入った学生は9名(25%)、「埋立・環境」の枠に入った学生は16名(44.4%)であることがわかりました。そして、世界の実際の分布と比較したところ、「リサイクル」9%(3名)、「焼却炉」12%(4名)、「埋め立て・環境」79%(28名)となりました。一方、日本ではリサイクル20%、焼却炉79%、埋め立て1%と状況が異なりました。

3つ目の実習では、自分のプラスチックの足跡を振り返ってもらい、4つ目の実習では、プラスチック代替品を紹介してもらいました(写真4参照)。この実習ではまず、ビニール袋とキャッサバで作った「 This is not plastic (これはプラスチックではありません)」という袋をお湯に浸します。30秒ほどかき混ぜると、「This is not plastic」の袋は分解され始め、ビニール袋はそのままでした。次に、小麦でできた「食べられるスプーン」と「食べられるストロー」を見せました。プラスチックではなく、実際に食べられることを実証するために、ファウジーさんは食べられるスプーンを食べ、その味を伝えました。次に、食べられるストローをお湯に浸して、スパゲッティのようにやわらかくして、これも食べられるようにしました。

最後に、2人は短い講演を行い、海洋プラスチック汚染が環境や野生生物に与える影響、海や空気中にも存在することを示しました。また、ASEANと日本間の海におけるプラスチックごみの動きを撮影したビデオも上映し、年々増加するプラスチックの量について説明しました。  

また、岸和田市が「きしわだプラスチックごみゼロ宣言」を行い、MPW対策に取り組んでいることも紹介されました。図1は、岸和田市と、和泉葛城山などから海へ流れるいくつかの河川を示したものです。この重要なつながりがあるからこそ、市は国際社会に貢献し、この地域の美しさを末永く守っていくことを宣言したのです。ファウジーさんと益田さんは、河川清掃やプラスチックごみのリサイクル・再利用によるごみの減量など、行動を起こすよう生徒たちに呼びかけました。また、ゴミのポイ捨てを避け、ストローやレジ袋など使い捨てのプラスチックの使用を減らすよう動機づけました。授業の最後には、質疑応答の時間を設けました。 

ファウジーさんと益田さんは、学生たちが日常生活の中でこの知識を実践し、家族や友人にこの問題の深刻さを伝えてくれることを期待しています。授業終了後、ファウジーさんは、「生徒たちの熱意と好奇心に感動し、それが社会にもたらす潜在的な影響力を目の当たりにし、フェローとして感動した」と話していました。また、「日本に住むASEAN諸国の市民として、ASEAN地域の海洋プラスチック廃棄物問題に対するこのような取り組みを見ることができたのは、とても有意義な経験だった」と述べています。 

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